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| 【 その一 】 | ||||
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【 その一 】 出題者:つるかめ漢方センター 山内 浩 先生 ■ 第一回 【問題1】53歳、女性。主訴は食欲低下、全身倦怠。本年8月26日、軽い脳梗塞にて入院。左上下肢の不全麻痺があったが、リハビリで 回復し17日後軽快退院した。現在、のどがヒリヒリし、ものを飲 み込むのが困難で、胸もヒリヒリし、食欲がかなり低下。入院前 から4Kgやせた。左手足のしびれ感、頭がふらつく。だるさが あり、気力がなくなり、自宅で殆ど横になっている。胃内視鏡で は、食道炎を認めず、萎縮性胃炎のみと診断されている。10月 10日、漢方外来初診。現症:158cm、46Kg、血圧106/60、貧血 なし。心音純、胸部異常なし。舌診:淡紅色、うすい白苔、舌下 静脈怒張あり。脈診:沈、弦、弱。腹診:腹力は軟弱。心下痞 硬、圧痛あり。臍上悸をあきらかに触れる。昔から胃腸が 弱い。胃がもたれる。便通は4日に1行と便秘。排尿は1日15 回、夜間4回と多い。寒がり、冷え症がつよい。首や肩、腰の 凝り、痛み。他院の投与薬剤:不眠症のため、眠剤(マイス リー)服用中、セルベックス、ユベラ、メチコバール、ケタス。 本症例(虚証)の漢方処方についてもっとも正しいと思われる ものを1つ選べ (1)脾虚、脾胃の虚寒証であるから、人参湯を主方とする。 気鬱にたいして、香蘇散を併用してみる (2)気血両虚証であるから、十全大補湯などを主方とする。 冷えがつよいので、加工ブシ末、修治ブシ末などを加える (3)脾虚証が主証であるから、食欲不振、胃もたれに対して、 六君子湯を主方とする。これに香蘇散を併用して、 香砂六君子湯の方意をもたせる (4)脾虚証で、全身倦怠、気力低下などの気虚証が高度であり、 脈弱、臍上悸があることなどから、補中益気湯を主方とする 【問題2】下記の方剤のなかで、「乾姜」を含むものを4つ選べ (1)大建中湯 (2)人参湯 (3)当帰湯 (4)苓姜朮甘湯 (5)当帰四逆加呉茱萸生姜湯 【問題3】保険診療上、「二日酔」の効能をもつ方剤を4つ選べ (1)黄連湯 (2)黄連解毒湯 (3)半夏瀉心湯 (4)五苓散 (5)茵チン五苓散 【問題4】『金匱要略』に、「腎著の病は、其の身体重く、腰中冷ゆること 水中に座すが如し。」とある薬方を選べ (1)苓桂朮甘湯 (2)苓姜朮甘湯 (3)苓甘姜味辛夏仁湯 (4)猪苓湯 (5)真武湯 【問題5】下記の文は、わが国の近世の養生書からの抜粋である。 よく読んで、その出典を選べ 「酒は天の美禄なり。少のめば陽気を助け、血気をやはらげ、 食気をめぐらし、愁を去り、興を発して、甚人に益あり。多く のめば、又よく人を害する事、酒に過ぎたる物なし。(中略)。 少し酔えるのは、酒の禍なく、酒中の趣を得て楽しみ多し。 人の病、酒によって得るもの多し。酒を多くのんで、飯をすくなく 食ふ人は、命短し。かくのごとく多くのめば、天の美禄を以、 却って身をほろぼす也。かなしむべし。」 (1)名古屋玄医 『養生主論』(1599) (2)貝原益軒 『養生訓』(1713) (3)杉田玄白 『養生七不可』(1801) (4)中神琴渓 『生生堂養生論』(1817) |
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■ 第二回 【問題1】症例は78歳、男性、会社役員。若いころ、虫垂炎にて手術、65歳に大腸ポリープにて開腹術、73歳には胆石にて開腹手術歴 がある。その後、癒着による腹部膨満感、便通異常に悩み、 某年1月からはイレウスにて、2回入院加療した。大便は普段 硬く、腹鳴が多い。下剤を服用するが快通しない。また、胸焼け にも長年悩む。漢方で便通と胸焼けをよくしたいと同年11月末に 来院した。現症:150cm、58Kg。舌質は淡白、腫大し、白苔あり。 脈は弦。腹力は中等よりやや軟。腹部は上部、下部正中線上に ほぼ全長にわたって手術痕および回盲部手術痕を認める。 胸脇苦満、心下痞硬はないか、手術痕のため不明。胃内停水 なし。食欲は普通。便通は1日5行、軟便ないし下痢状であり、 腹痛をともなう。腹が張る。本例にもっとも適当と思われる漢方 処方を1つ選べ (1)半夏瀉心湯 (2)茯苓飲 (3)調胃承気湯 (4)桂枝加芍薬大黄湯 (5)中建中湯(大建中湯合小建中湯) 【問題2】以下の慢性関節リウマチに常用される方剤のなかで、麻黄を 含まない処方を2つ選べ (1)桂枝加朮附湯 (2)越婢加朮湯 (3)ヨク苡仁湯 (4)桂枝芍薬知母湯 (5)大防風湯 【問題3】アレルギー性鼻炎の急性期に用いられる標治法として、 寒証(風寒)と熱証(風熱)に大別した場合、熱証に対応する 方剤を1つ選べ (1)小青竜湯 (2)麻黄附子細辛湯 (3)苓甘姜味辛夏仁湯 (4)辛夷清肺湯 (5)葛根湯加川キュウ辛夷 【問題4】東洋医学的に、五臓のうちの「脾」の生理機能について 誤っているものを1つ選べ (1)消化吸収作用 (2)水分代謝 (3)血を統御する (4)肌肉を主り、病変は口唇に現れる (4)血を蔵する 【問題5】便秘に常用される以下の方剤のなかで、『傷寒論』もしくは 『金匱要略』を出典としないものを1つ選べ (1)麻子仁丸 (2)潤腸湯 (3)大黄甘草湯 (4)調胃承気湯 (5)桃核承気湯 |
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■ 第三回 【問題1】症例は70歳、女性。主訴は下肢痛、特に右側。腰痛。1992年秋から両側下肢痛が出現、増強し歩行困難となった。近くの 整形外科を受診、坐骨神経痛として湿布、NSAIDsを投与された が改善せず、胃障害も起こしたため中止し、針灸に通っていた。 また、薬局ですすめられた漢方(不詳)がある程度効いたという (9月から10月まで)。1週前から腰痛が加わり、右下腿部の つれるような痛みがあり、痺れ感をともなう。奈良から東京へ つい最近転居した。以前から西洋薬は合わない、すぐ胃の具合 が悪くなるという。漢方治療を希望し、同年12月27日当院を 受診。 現症:145cm、42Kg。BP 156/84.顔色やや蒼白。眼瞼結膜貧血 なし。心音純、胸部異常なし。舌診:淡白色、白苔。脈診:細、 やや弦。腹部平坦、腹力軟弱。胸脇苦満、胃内停水、臍傍圧痛 なし。指尖は白色調で冷たい。 臨床検査:WBC 5400,Hb 13.5g/dl,CRP 0.1mg/dl.生化学 TC 231mg/dl,のほか、正常範囲内。心電図:完全右脚ブロック。 腰椎X線所見(当院整形外科): L4/L5 Pseudolisthesis(疑分離症、変性すべり症), Osteoporosis。 食欲普通、睡眠よい。便通1日1行。寒がり、足の冷え、電気 毛布がはなせない、冷えで症状悪化。疲れやすい。アルコール は酒1合/日、喫煙なし。 出題者は本例に対し、湿布、安中散(散寒止痛、胃薬として)と ともにある漢方処方を投与したところ、著効を得た。その処方は どれか? 下記の附子含有ないし附子を加えた処方の中から1つ選べ (1)牛車腎気丸 (2)桂枝加朮附湯 (3)五積散加附子 (4)疎経活血湯加附子 (5)当帰四逆加呉茱萸生姜湯加附子 【問題2】アトピー性皮膚炎の漢方治療に関してまちがっているものは どれか?1つ選べ (1)皮疹の重症度に対応したステロイド外用剤と漢方の併用は 有用である (2)プロトピック軟膏と漢方の併用に問題はない (3)保湿剤と漢方の併用は基本的治療である (4)漢方治療をするなら、ステロイド剤はすぐやめるべきである (5)ステロイド剤を適切にぬりながら、漢方や養生で体質改善、 本治をはかる 【問題3】慢性肝炎の漢方治療に関して、まちがっているのはどれか? 1つ選べ (1)小柴胡湯の副作用は、証が正しいと判断されたときでも 起こりうる (2)小柴胡湯による間質性肺炎の多くで、黄ゴンによるアレルギー の関与が示唆される (3)漢方治療によるC型肝炎ウイルスの消失、駆除は期待できない (4)難治例に対して、漢方と強ミノC、ウルソなどの現代薬との併用 は合理的である (5)インターフェロンと漢方の併用は、すべて禁忌である 【問題4】下記の漢方処方のうち、大黄、芒硝を含まないものを1つ選べ (1)通導散 (2)大黄牡丹皮湯 (3)腸癰湯 (4)桃核承気湯 (5)防風通聖散 【問題5】紫雲膏の組成でないものを1つ選べ (1)ゴマ油 (2)紫根 (3)当帰 (4)黄柏 (5)豚脂 |
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■ 第四回 【問題1】10年前の症例。29歳、女性。主訴はアトピー性皮膚炎の悪化、全身皮膚の発赤、乾燥、痒み。現病歴:小児期より アトピーがあり、20歳のとき、顔面の発赤、腫脹が悪化し、 全身に湿疹が拡大した。長年、ステロイド外用剤を使用して きたが、最近は使っていない。毎年、気候不順時に悪化する。 本年(1993年)3月に初産、6月より悪化した。体質改善を希望 して8月9日、私の漢方外来を受診した。 現症:157cm、47Kg。血圧104/60.全身の皮膚は黒褐色調で 乾燥。苔癬化が著明でザラザラとしており、落屑が多い。 滲出性病変は認めず、発赤、皮疹は比較的軽度であった。 掻痒は中等度。舌診:淡紅色、薄い白苔、歯痕あり。脈診: 沈、弦。眼囲のくま(++)。腹力はやや軟で、軽度の胸脇苦満、 臍上の動悸、左臍傍の圧痛を認めた。食欲、睡眠良好。便通 1日1行。月経は従来順調で、完全母乳で授乳中。冷房が嫌い、 熱いものが好き。疲れやすい。最近とくに怒りっぽく、いらいら することが多い。首筋、肩のこり。甘いもの、辛いもの、魚、 野菜が好き。検査成績:白血球数6170,好酸球比10%、 IgE-RAST(クラス):スギ(2)、ダニ1(2)、ハウスダスト(2)、牛乳(0)、 卵白(0)、ダイズ(0)。出題者は本例に対して、ある処方にて著効 がえられた。その処方はどれか?1つ選べ (1)消風散合黄連解毒湯 (2)白虎加人参湯 (3)温清飲 (4)当帰飲子合黄連解毒湯 (5)加味逍遙散合四物湯 【問題2】当帰飲子の組成でない生薬はどれか?1つ選べ (1)荊芥 (2)黄耆 (3)連翹 (4)何首烏 (5)地黄 (6)シツリ子 【問題3】地黄の含まれない方剤はどれか?2つ選べ (1)竜胆瀉肝湯 (2)柴胡清肝湯 (3)十味敗毒湯 (4)消風散 (5)治頭瘡一方 【問題4】傷寒論(太陽病上篇)に、「桂枝湯を服し、大いに汗出でて後、 大煩渇解せず、脈洪大なるものは、( )之を主る」とある 処方はどれか? (1)五苓散 (2)白虎湯 (3)白虎加人参湯 (4)白虎加桂枝湯 (5)大青竜湯 【問題5】下記のアトピー性皮膚炎に応用されている方剤のなかで、 どちらかといえば標治法ないし対症療法的と考えられる処方は どれか?3つ選べ (1)補中益気湯 (2)荊芥連翹湯 (3)黄連解毒湯 (4)梔子柏皮湯 (5)白虎加人参湯 (6)六味丸 |
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■ 第五回 【問題1】症例は32歳、男性。主訴:嘔気、食欲不振、やせ。現病歴:某年8月頃より、食後に悪心、嘔吐が出現した。 その後、吐くことはないが、いつも嘔気がしており、食欲が ない。昔から胃腸が弱く、食べすぎると胃の膨満感や下痢を おこしやすい。10月、当院消化器内科を受診、胃内視鏡では 萎縮性胃炎の診断、腹部超音波では異常なし。漢方を希望し て出題者外来を紹介された。体重は2-3Kg減少した。 現症:173cm、50Kg。舌質淡紅色、白苔、歯痕あり。脈は弦、 滑。神経質で精神的緊張で手が震えたり、手に汗をかきやす い。腹診では、腹力軟で、胸脇苦満は明らかでないが、上腹部 の両側腹直筋がピンと張っており、臍上の動悸も認める。睡眠 中によく目がさめる。便通1日2行、軟便。排尿1日6回。食後に 眠気とだるさがある。不安感、首筋、肩、背中のこり、吐き気、 胃もたれ、目が疲れる。仕事のストレスは少ない。 酒・タバコ(-)。食事は辛いものが好き。本例にもっとも適当と 思われる漢方処方(エキス剤による)はどれか? 下記から1つ選べ (1)六君子湯に柴胡桂枝湯を加え、「柴芍六君子湯」近似処方と する (2)半夏瀉心湯。ひね生姜を加えて「生姜瀉心湯」とする (3)茯苓飲または茯苓飲合半夏厚朴湯 (4)補中益気湯に六君子湯(または二陳湯)を併用する (5)抑肝散加陳皮半夏 【問題2】『金匱要略』(婦人雑病篇)に、「婦人の臓躁、喜々悲傷して哭 せんと欲し、象心霊の作す所の如し。数々欠伸するは( )之 を主る」とある薬方はどれか? (1)帰脾湯 (2)柴胡桂枝乾姜湯 (3)桂枝加竜骨牡蛎湯 (4)甘草小麦大棗湯 (5)抑肝散 【問題3】五味子(チョウセンゴミシの果実)には、鎮咳、生津・止汗、 補腎作用などが知られているが、本生薬が含まれない処方は どれか?1つ選べ (1)小青竜湯 (2)清暑益気湯 (3)清肺湯 (4)人参養栄湯 (5)麦門冬湯 【問題4】黄耆(キバナオウギの根)の薬理作用として適当でないものは どれか?1つ選べ (1)補気・生津作用 (2)止汗作用 (3)補気・升提作用 (4)排膿作用 (5)利水・消腫作用 【問題5】生薬の人参は、わが国では通常、オタネニンジン Panax ginsengの根をさすが、類似生薬として、竹節人参、田七 (田三七、三七人参)、西洋人参(西洋参)、党参などがある。 このうち、止血、駆オ血作用に優れ、鎮痛作用があり、オ血 を呈する各種疾患、疼痛性疾患、出血性疾患に応用され、 切り傷、打撲には粉末を外用し有効とされる生薬はどれか? (1)御種人参 (2)竹節人参 (3)田七人参 (4)西洋人参 (5)党参 |
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